Amazonの戦略に乗ることは貴社にとって本当に有益か?
- 2014/08/29
- 13:46
「自分のビジネスの商品を誰かに手渡す前に、注意深く考えて下さい。Amazonはあなたの友達ではありません」
なかなか衝撃的な言葉だ。
引用したのはGIGAZINEの「Amazonから全ての本を引き上げて過去最高収益を得る出版社とは?」からの一文。以下、引用は同サイトから。
Amazonで本を発売していた出版社Educational Development Corporation(EDC)は、経営不振が続いていたことから2012年に「全ての本をAmazonから引き揚げる」という経営戦略を行ったのだという。
一見すると、これは無謀で更に自分の首を絞めるだけの行為に見える。
Amazonはネット販売では最大手のショップであり、送料無料など格安販売をモットーにしており非常に人気が高い。
そのAmazonから商品を引き揚げるなど、さらに商品が売れなくなるだけではないかと思える。
更にはスーパーマーケットなどへの納品も取り止めたらしい。
とても正気の沙汰とは思えない。
だが予想に反して経営は上向きのようだ。
一見すると危険な決断のように思えますが、EDCの2014年度の第1四半期の収益は前年比で20%増、7月の月間収益は28%増となっており、2014年は過去最高の収益をたたき出しているとのこと。
これはAmazon等で購入していた顧客が、公式サイトで買うようになったことが影響しているだろう。
知っている人もいるかも知れないが、アメリカには本の「再販制度」がない。
再販制度というのは出版社が販売店に対して、本を定価で売ることを強制できる制度だ。
そのため、日本ではAmazonなどでも本は定価で売られている。
だがアメリカの場合はそれが無いので本はガンガン値下げされる。
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たとえば、こちらのStephen King氏著の「Mr. Mercedes」という作品。
アメリカのアマゾンで調べてみると定価30ドル(約3,000円)のところが、値引きされて18ドル(1,800円)で売られている。
アメリカの販売方法が分からないのではっきりとは言えないが、もし出版社の取り分が日本と同じ70%だとすると、8.4ドル(約850円)もの損が出るということだ。
日本なら大判のマンガ単行本などが買えてしまう金額だ。
ちなみにこの70%という数字は、その中に作家への印税や印刷所の支払いなどを含んでいるので、出版社が受け取る額はさらに下がる。
EDCはこういった値下げ販売競争から手を引き、自社販売に切り替えることで収益を出したのだろう。
値下げ競争に参加する方が、そこに参加しないことで顧客の数が減るよりも損が大きかったのだ。
世の中、例え安くてもとにかく人の手に取って貰うのが一番ではないということだ。
Photo by : geralt
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