絵本の悪役はやっている悪事に対して罰が重過ぎる
- 2014/09/21
- 17:49
絵本の世界の改変が酷すぎると思うの。
なんか最近の絵本はバイオレンス要素とかを削って、人が死なない内容になってたりするっていうのを聞いたことがあるのだけど……。
最近はそれを読んで育った世代が大きくなってきている模様。
お陰でこんなトンチンカンなこんな記事が飛び出てくる始末。
それがこちらの『さすがにやりすぎでは?と感じる昔話の仕返し1位「かちかち山(ヤケドを負ったたぬきは唐辛子を塗られて泥の船で溺れる)」』という記事。
記事では仕返しがやりすぎではと思う昔話についてのアンケート結果を載せているのだが、そこについたコメントで「んん?」と首を傾げざる得ないものが幾つかあった。
まずは一位である「かちかち山」。
この「かちかち山」はウサギがタヌキに仕返しをするという話なのだが、その仕返しの方法というのが……
- タヌキを柴刈りに誘い、背負った柴に火を付けて火達磨にする。
- 火傷に苦しむタヌキに良く効く薬だと騙してトウガラシ入りの味噌を渡して苦しめる。
- タヌキを泥の船に乗せて漁に行き、泥の船が溶けて溺れさせる。
……とまぁ、こうして箇条書きにするとウサギの仕返しは執拗で残虐なものに見える。
しかし、そもそもなぜタヌキが仕返しされるような事態になったのかを考えればそうも言ってられない。
おじいさんおばあさんの作る畑を荒らしていたタヌキは、罠でタヌキを捕まえて縛り上げてタヌキ汁にしようとする。
ところがタヌキはおじいさんが畑仕事に行っている間に、おばあさんに「もう悪さはしないし、家事も手伝う」と言って助けを求める。
おばあさんはタヌキの言葉を信じて縄を解くのだが、途端にタヌキはおばあさんを撲殺。
それだけならまだしも、タヌキはおばあさんの死体で鍋を作る。
そして帰ってきたおじいさんに、おばあさんに化けてその鍋を食べさせてしまうのだ。
その敵を討つために腰を上げたのがウサギであり、上記のウサギの行為はその復讐なのだ。
だが現在の絵本ではこのような内容に改変されているらしい。
でも友達が読んだやつはおばあさんは殴られるけどケガしただけで死なない。
さらにタヌキも最後は泥舟に乗せられるけど、反省した所でウサギに助けられ
お爺さんの所へ行き謝って家の手伝いをするという内容らしいです。
そりゃあ、そういう内容を読んでいればウサギの行為はやりすぎにも見えるだろう。
もう一つ首を傾げるのが2位の「さるかに合戦」についたコメントだ。
さるかに合戦(サルはヤケドを負う、蜂にさされる、臼に潰される)「猿はカニと交換しただけなのに、あまりにその後展開がリンチ的で酷い。猿の子供にこそ復讐する権利があると思う」(30歳男性/自動車関連/技術職)
『さすがにやりすぎでは?と感じる昔話の仕返し1位「かちかち山(ヤケドを負ったたぬきは唐辛子を塗られて泥の船で溺れる)」 | 「マイナビウーマン」』より
んん?
「猿はカニと交換しただけ」?
一体、何を言っているのだろう。
「さるかに合戦」の猿は、カニの育てた柿を一人でバクバク食ったばかりか、柿を欲しがる親ガニに向けて青い柿をぶつけて殺してしまうはず。
ところが今の話ではこうなっているらしい。
・そもそも親の蟹が死なない(怪我をする程度)
・猿も死なない
・猿は反省して謝り、みんなと仲良く平和に暮らす
……カニの親が死なずにちょっと怪我した程度で、あのフルボッコだと確かにやりすぎなリンチに見えるよなぁ。
そもそも現在は「さるかに合戦」の「合戦」が戦争をイメージさせるということで「さるかにばなし」という題に変えられているのだそうだ。
このように昔話をマイルドに改変した結果、逆に善玉役の仕返しとのバランスが崩れてしまっている。
こうなると逆に教育に悪いのではないかと思ってしまうのだがどうだろうか。
Photo by : (C) Junya Ogura
Creative Commons-Attribution
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