石井一氏の発言は正しいだろうが国民としては受け入れがたい
- 2014/08/31
- 13:29
民主党の石井一元国家公安委員長(80)が29日、兵庫県神戸市で開催された自身の旭日大綬章受章記念パーティーで、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)によって拉致された横田めぐみ氏について「もう亡くなっている」という発言をしたことについて。
(前略)30日、産経新聞の取材に応じ、「北朝鮮が一度、死亡を認定した人が日本に戻ってくることはあり得ない、という趣旨で話した」と改めて主張した。
石井氏は「拉致被害者の家族が『生きて帰ってきてほしい』と思うのは当然だし、帰ってくれば、それ以上にうれしいことはない」と話しながらも、「金正日(キムジョンイル)総書記が小泉純一郎首相(当時)に伝えた拉致被害者の『死亡』という事実は大きい。いったん受け入れたものを、ひっくり返せるのか。被害者家族を思えば痛ましいことだが、それはほとんど不可能に近い。国際社会としては決着がついている話だ」と同様の主張を繰り返した。
そのうえで、「(被害者家族が)かわいそうだから返せ、と騒ぐこと自体がマイナスなことではないか」と述べ、発言を撤回する考えはないとした。
この発言に対してネット界隈でも反発する声が多い。
だが横田めぐみ氏が戻って来ないだろうことには同意せざる得ない。
すでに北朝鮮は公式に横田めぐみ氏が死亡しているという報告をしている。
横田めぐみさんをめぐっては、北朝鮮側も拉致を認めて「遺骨」を提出したが、日本側が鑑定した結果、別人のDNA型が検出された。
遺骨として提出された骨から検出されたDNAが別人のものということが後から判明するという事もあったようだが。
すでに国家として「死亡している」と発表している以上、北朝鮮が国家の体面を守ろうとする気持ちがあるのなら、その事実認定をいまさら覆すことはないだろう。
それに対してずっと「返せ」と言い続けることは確かに北朝鮮の心証を悪くする可能性が高い。
そういう意味では石井氏の言う通り、「騒ぐこと自体がマイナス」ということは十分に有り得る。
だが日本側の主張としては「横田めぐみ氏の死亡は確認されていない」ということも忘れてはならない。
これが死亡したということが確定しているのに騒いでいるのなら話は違うが、上記にも書いている通り、提出された遺体は別人のものだった。
死亡が確認されていない以上、彼女が生きているという可能性は存在するということだ。
石井氏の発言は正しい。
北朝鮮が一度、国家的な報告として伝えてきたものを引っくり返すことは不可能に近いだろうし、それに対して突っ込みを続けるのは彼の国との交渉を難しくさせるだろう。
そして、批判が多いことを承知で書けば、恐らく横田めぐみ氏は実際に死亡しているし、その遺体はどこにあるのかも分からない状態であるのではないかとも思う。
だがそれでも日本に住む国民としては、拉致などに対して政府には粘り強い返還交渉を行って貰いたい。
政治的な判断によって生きている可能性が僅かでもあるにもかかわらず諦めるということはして欲しくはない。
Photo by : (C) jara guzmán jacoibo5731
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