エボラ出血熱の拡大が止まらない - WHOも逃げ出す状況
- 2014/08/27
- 19:56
日本にいると、どうにも他人事に思えてしまうエボラ出血熱が想像以上に酷いことになっている。
西アフリカでエボラ出血熱により、WHO・世界保健機関の職員120名以上が死亡しました。
フランス通信によりますと、世界保健機関は25日月曜、西アフリカ地域に当たるギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの各国で、この国際機関の職員240名以上が医療活動に当たっていることに触れ、「1つの感染症により、これほどの数のこの組織の医療従事者が死亡したのは、過去に例がない」と表明しています。
西アフリカ地域では、これまでにエボラ出血熱によりおよそ1500名が死亡しており、この病気はさらに蔓延しています。
現在、エボラ出血熱の治療法や、エボラウィルスに効くワクチンは存在せず、その治療薬はまだ未承認となっています。
エボラ出血熱は現地の人間だけではなく、それに対応する医者やWHO(世界保健機関)職員にも多大な被害を出している。
また、唯一の希望とされていた未認可の治療薬も必ずしも効果があるわけではない事が8月24日に判明した。
[モンロビア 25日 ロイター] - リベリアのブラウン情報相は25日、エボラ出血熱に感染し、未承認の治療薬「ZMapp」の投与を受けていた医師アブラハム・ボーボー氏が死亡したと明らかにした。
エボラ出血熱の感染が拡大している同国では、入手した「ZMapp」をボーボー氏を含む医師3人に投与。当初は良好な反応を示していたとしていたが、ボーボー氏は24日に死亡した。
リベリアでエボラ出血熱に感染し、米国に帰国後、病院で治療を受けていた米国人医師と医療スタッフの2人は、ZMapp投与を受け、前週無事に退院した。ZMappの効用をめぐり楽観的な見方が広がったが、ボーボー氏の死でこうした期待が後退する可能性がある。
未承認薬「ZMapp」を投与された三人の内、二人は回復したがリベリア人医師のアブラハム・ボーボー氏は投薬当初は良好な反応を見せていたが結局24日に死亡してしまった。
そもそもな話、この「エボラ出血熱」がどんな病気なのかと言えば、エボラウィルスが病原体となっている感染症。
症状は初期は発熱、悪寒、筋肉痛、嘔吐下痢などインフルエンザのようだが、進行すると全身から出血、吐血、下血をして死亡する。
その致死率は50%から90%と非常に高く、その上これといった治療法はまだ存在していない。
主な感染源は、感染者に接触したり、その体液に直接触れたりすることが感染する。汗や血液、排泄物、吐しゃ物などからでも広がる。
唯一、空気感染だけはしないと言われているが、患者を隔離しない限りはどこまでも感染が広がる恐ろしい病気だ。
ただし、アルコール消毒や石けんによる消毒が容易であることや、潜伏期間が7日程度(最短2日、最長3週間)で、潜伏期間中には感染力はないことから、感染者を特定して隔離処理などをすれば感染拡大を止めることは容易いとされている。
それがなぜ今回、アフリカ諸国で大流行してしまっているかといえば、それは国民の医療機関への信頼がないからだと言う。
現在エボラ出血熱が流行しているアフリカ諸国では、患者は、地元の医療制度を信頼していない。それには相応の理由がある。クリニックや病院は職員が不足しており、医薬品や治療設備も不十分だからだ。困難な労働条件下では医療従事者の士気も低い。そうした状況にあるため、人々は伝統的治療法に頼っている。伝統療法はウイルスを退治することはできないかもしれないが、現代医療が見落としがちな気遣いと共感を与えてくれる。
エボラ出血熱の流行に見舞われた地域社会は、外国人医師も信頼していない。場合によっては、彼らが病気を持ち込んだと考えられている。
感染の結末が過酷であることも、医療従事者への信頼醸成を妨げている。患者が病院に運ばれてくるときは末期症状であることも多く、その場合の死亡率は90%にも上るため、入院すると遺体となって帰ってくることの方が多いからだ。
患者の家族は感染拡大を防ぐため、看病や伝統的埋葬をしないよう言われているが、医療機関への信頼の欠如は結果として、地域社会が感染を隠すことにつながっている。「国境なき医師団」や赤十字の関係者が支援に訪れても、彼らの活動に懐疑的な現地の人たちから脅迫されたり攻撃を受けたりしている。
アフリカでは現代医療ではなく、祈祷や呪術といった手段による治療を行う人々がまだまだいる。
それは国民への教育が足りないからでもあり、医療体制が不十分であるからでもある。
実際、リベリアでは隔離施設が武装集団によって襲撃され、感染者達が逃げ出してしまうという事件も起こっている。
【8月18日 AFP】西アフリカ・リベリアの首都モンロビア(Monrovia)にあるエボラ出血熱患者の隔離施設が16日夜、こん棒で武装した若者集団の襲撃を受け、患者17人が脱走、現在も行方不明となっている。
目撃者によると、襲撃犯らはエレン・サーリーフ(Ellen Sirleaf)大統領を侮辱する言葉を口にしたり、「エボラなど存在しない」と叫んだりしていたという。エボラ熱の流行地域の住民らの間ではパニックと不信感が広まっており、エボラウイルスは「西洋によって作り出されたもの」または「でっちあげ」だとの噂も広く出回っている。
匿名で取材に応じた保健省職員によると、若者らは高校の校舎を利用して設置された隔離施設から医薬品やマットレスなどの寝具を略奪した。
襲撃した人々は、エボラ出血熱の存在自体を否定していたらしい。
また同地では、エボラ出血熱は西洋国家による攻撃であるなどという噂なども駆け巡っている。
こういった事情からエボラ出血熱を封じ込めることは非常に難しい事態になっており、感染はどんどん拡大している。
しかし、医療関係者までエボラ出血熱に感染してしまうとは一体どういうことなのか。
感染の理由などが分からないため何とも判断できない。
しかし、今回の結果を受けてWHOはシエラレオネからスタッフを引き揚げる事に決定したようだ。
世界保健機関(WHO)の報道担当者は26日、WHOの提携機関から西アフリカのシエラレオネに派遣された疫学専門家がエボラ出血熱に感染したことを受け、この専門家が働いていた同国東部の検査施設からスタッフを引き揚げたと明らかにした。
アフリカのエボラ出血熱の感染拡大はまだまだ収まる気配が見えない。
《追記》 2014年9月1日
なぜ西アフリカでこんなにもエボラ出血熱が感染拡大しているのかについて、また新しい側面が見えてきた。
一般の人が感染するケースとしては、感染した患者を家族が看護する場合に、血液などに直接触れたりするケースがリスクが最も高いケースとなるとされている。また、西アフリカ諸国では、患者が亡くなった場合に、葬儀の際に遺族が患者の遺体にふれる習慣があるという。そのため、感染拡大を招いているというのがWHO(世界保健機関)をはじめとした専門家の見解だ。
どうやら向こうの葬儀の習慣で、遺体に遺族が触れるというものがあるらしい。
遺体に感染すると感染するため、遺体に接触しないことが重要です
・遺体の清拭、あるいはキスなど接触することを避ける
・遺体に接触した他人が手を洗ったバケツの水(汲み置きの水)で手を洗わない
このようにエボラ出血熱は遺体からでも感染してしまうことが判明している。
しかも遺体に接触した人間が手を洗った水からでも感染の危険性があると言うのだ。
これは政府がかなり力を入れた上で、国民の協力を得られなければ感染拡大を阻止するのは難しいだろう。
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