スコットランドの独立は回避されたが遺恨は残るだろう - イギリス
- 2014/09/20
- 15:40
イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)で、国を構成する地域の一つであるスコットランドの独立投票が9月18日に行われた。
結果から言えば独立否定派が賛成派を上回り、スコットランドの独立の夢は泡と消えた。
BBCによると、19日午前5時15分現在(日本時間同日午後1時15分)、独立反対は 139万7000票(54.3%)で賛成の117万6000票(45.7%)を上回っており、8.5ポイントの差が付いている。登録有権者は約430万人。
32行政区のうち26地区で開票を終えている。最大都市グラスゴーなど都市部で独立賛成が過半数を獲得したものの、地方部では反対派が多数を占めた。
投票率は多くの地区で80%を超えるなど異例の高さで、独立問題への関心の大きさを裏づけた。
1日に行われた調査会社ユーゴブ(YouGove)による調査では賛成が42%、反対48%、保留10%だった。
それが実際に投票を行ってみれば、ほぼその調査から比率が変わらないまま反対派が勝利した。
これは外野から見ていれば逆に意外な結果だった。
なぜなら後半になるにつれてスコットランドの独立に対するネガティブな反応が多く出ていたからだ。
曰く、イギリスの通貨であるポンドはそのまま使えない。
曰く、企業が独立した場合値上げをすると次々と宣言した。
曰く、独立後の軍備に対する展望がない。
曰く、独立後に欧州連合(EU)に参加できる可能性が低い。
そんな情報が次々と出ていたにも関わらず、それでも独立を強固に願う層がいたという事だ。
これは独立による損を許容してでも独立したい人間が多いという事ではないのか。
もっとも外国にいる自分達に届いている情報がネガティブなものばかりなだけで、現地ではポジティブな事情が見えているのかもしれないが。
今回、惜しくも独立はならなかったが、賛成派の中には今回の結果を受けてさらに態度を強固にする者も出てくるだろう。
イギリス政府は今回の独立回避を受けて、スコットランドに今よりも大きな自治権という「飴」を与えるようだが、この行為が彼の国を構成する他の地域(ウェールズ、北アイルランド)の不満に繋がる可能性もある。
この騒動はこれからも水面下で燃焼を続けそうだ。
▽関連記事▽
Top Photo by : (C) OpenClips
Public Domain
「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 (NHK出版新書 354) コリン・ジョイス 森田 浩之 NHK出版 2011-07-07 売り上げランキング : 4128 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
イギリスの歴史が2時間でわかる本 (KAWADE夢文庫) 歴史の謎を探る会 河出書房新社 2012-04-17 売り上げランキング : 2784 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
イギリス人はおかしい―日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔 (文春文庫) 高尾 慶子 文藝春秋 2001-02 売り上げランキング : 46606 Amazonで詳しく見る by G-Tools |