はしりかね
- 2013/01/31
- 17:59
志摩の小港では船の上で商売する娼婦を「はしりかね」と言う。
男の着物の繕いまで世話したので「針知かね」と呼ばれ、それが略されてはしりかねである。
ロマンチックな説では相手をした男達が、はしりかねに後ろ髪を引かれて船を港から「『走りかね』た」からとも。
「菜を売ろうえ」と言って海上の男達の船へと近付いていく。
「菜を売る」とはお上に対する言い逃れであった。
昔はどこにの家にもはしりかねがいた。
それは自分の家の娘であったり、育て切れない別の家の娘を引き取り育て、十四歳ほどで勤めに就かせていたりした。
はしりかねの年期は三年。
島民や馴染みの船員に身請けされ、結婚する者も多かった。
その土地でははしりかねの存在は恥ではなかったそうだ。
昭和13年に政府から娼家の撤廃が命じられるまで続いた。
男の着物の繕いまで世話したので「針知かね」と呼ばれ、それが略されてはしりかねである。
ロマンチックな説では相手をした男達が、はしりかねに後ろ髪を引かれて船を港から「『走りかね』た」からとも。
「菜を売ろうえ」と言って海上の男達の船へと近付いていく。
「菜を売る」とはお上に対する言い逃れであった。
昔はどこにの家にもはしりかねがいた。
それは自分の家の娘であったり、育て切れない別の家の娘を引き取り育て、十四歳ほどで勤めに就かせていたりした。
はしりかねの年期は三年。
島民や馴染みの船員に身請けされ、結婚する者も多かった。
その土地でははしりかねの存在は恥ではなかったそうだ。
昭和13年に政府から娼家の撤廃が命じられるまで続いた。
辺見じゅん著『今は幻のはしりかね磯部町的矢(三重県)』より。
新人物往来社発行『別冊歴史読本 歴史の中の遊女・被差別民』収録
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