百鬼夜行
- 2008/02/09
- 10:03
空に満月。実に風流。
そして目の前には百鬼夜行(ひゃっきやこう)。…実に風流。
「こりゃまた、ずいぶんと」
「若いって言うのは素敵だわ」
僕の意味の無い呟きに、律儀にも答えてくれたのは相棒のナツメ。
さすがは相棒、付き合いが良い。
「しっかし、ずいぶんと今日は数が多いな」
道を完全に占領しつつ、九十九神(つくもがみ)達は青春の最中を爆走中。
長い年月を過ごし、魂の宿った物々が歌い舞い踊る深夜の祭典。
だが、そんなものを公共の道路で無許可に敢行されるのは迷惑以外のなにものでもない。
――人、それを暴走族と呼ぶ。
「そこの百鬼夜行、止まりなさ~い!」
ナツメが大声で叫ぶ。
だがその声は彼らが掻き鳴らすエレキギターやドラムやグランドピアノなどの歌声に掻き消されて、まったく届きゃしない。
近くにいたテーブルや椅子には聞こえたようだが、ものの見事に無視されてるし。
彼女はそれでも諦めずに声を張り上げる。
「止まりなさ~い!」とか、
「今の内に止まってくださ~い!」だとか、
「田舎の大工さん材木屋さんも泣いてますよぉ~!!」って感じで。
焼け石に水。台風に扇風機。
……ああ、楽しそうだな百鬼夜行。僕も警官でなければ加わりたいもんだ。
実際、祭りに加わってる一般人もいるし。警官の一人の二人混ざっても、誰も分からないんではないだろうか。
「止まれってんだろうがッ!!」
怒声に驚いて横を見ると、いつの間にやらナツメの姿が無い。
百鬼夜行に目を戻せば、その列に木刀片手に踊りかかっていく相棒の姿。
…参加しなくて良かった。
とりあえず僕は近くで踊っていた拡声器を掴んだ。
「あ~、明日の朝日を眺めたい方は解散した方が身のためですよ~」
(2004年度公開作品に加筆修正したもの)
▽関連▽
・鬼 - Wikipedia(百鬼夜行に関する言及あり)
・高台寺 百鬼夜行展
そして目の前には百鬼夜行(ひゃっきやこう)。…実に風流。
「こりゃまた、ずいぶんと」
「若いって言うのは素敵だわ」
僕の意味の無い呟きに、律儀にも答えてくれたのは相棒のナツメ。
さすがは相棒、付き合いが良い。
「しっかし、ずいぶんと今日は数が多いな」
道を完全に占領しつつ、九十九神(つくもがみ)達は青春の最中を爆走中。
長い年月を過ごし、魂の宿った物々が歌い舞い踊る深夜の祭典。
だが、そんなものを公共の道路で無許可に敢行されるのは迷惑以外のなにものでもない。
――人、それを暴走族と呼ぶ。
「そこの百鬼夜行、止まりなさ~い!」
ナツメが大声で叫ぶ。
だがその声は彼らが掻き鳴らすエレキギターやドラムやグランドピアノなどの歌声に掻き消されて、まったく届きゃしない。
近くにいたテーブルや椅子には聞こえたようだが、ものの見事に無視されてるし。
彼女はそれでも諦めずに声を張り上げる。
「止まりなさ~い!」とか、
「今の内に止まってくださ~い!」だとか、
「田舎の大工さん材木屋さんも泣いてますよぉ~!!」って感じで。
焼け石に水。台風に扇風機。
……ああ、楽しそうだな百鬼夜行。僕も警官でなければ加わりたいもんだ。
実際、祭りに加わってる一般人もいるし。警官の一人の二人混ざっても、誰も分からないんではないだろうか。
「止まれってんだろうがッ!!」
怒声に驚いて横を見ると、いつの間にやらナツメの姿が無い。
百鬼夜行に目を戻せば、その列に木刀片手に踊りかかっていく相棒の姿。
…参加しなくて良かった。
とりあえず僕は近くで踊っていた拡声器を掴んだ。
「あ~、明日の朝日を眺めたい方は解散した方が身のためですよ~」
(2004年度公開作品に加筆修正したもの)
▽関連▽
・鬼 - Wikipedia(百鬼夜行に関する言及あり)
・高台寺 百鬼夜行展