「紐と十字架」&「影と陰」
- 2006/12/08
- 13:26
紐と十字架 イアン ランキン (2005/04/08) 早川書房 この商品の詳細を見る |
原題=Knots and Crosses
リーバス警部シリーズの一作目、らしい。
何も事前情報を知らずに書店で何となく買ったので、詳しいことは分からない。
「リーバス警部シリーズ」と言っているが、この作品の中でジョン・リーバスは部長刑事。どうやらシリーズが続く内に昇格する模様。
正直、ストーリーには粗さが目立つ。
作者が書きたいと思ったものをとりあえず全部突っ込んでみた感じがありありとするし、結末が唐突過ぎるので読み終えた後も今一つ物足りないものが残る。
特に最初の方のリーバス部長刑事の日常といった話運びは退屈に感じる。
だが後半に入ってからの怒涛の展開には目を奪われて、時間を忘れて読み耽りました。
影と陰 イアン ランキン (2006/04) 早川書房 この商品の詳細を見る |
原題=Hide and Seek
「紐と十字架」に続くリーバス警部シリーズ第二作。
前回の事件の功績により警部に昇進したリーバス。
ある日、空き家で一人の若者が麻薬の過剰摂取で死亡した。十字架に張り付けられたような格好で、その近くには魔方陣らしきものが描かれていた。
誰もがそれを単なる事故死と判断する中、リーバスは一人その死に不審を抱き、独自に調査を開始する。
まるでアメリカの刑事ドラマの脚本を見ているよう。
一つの事件を基点としてエジンバラ市の暗い面や、そこに住む人々の悲喜交々を描いていく。
非常にリアル感漂う作品ながら、それゆえか華やかさに欠ける。
リーバスのテンションが終始ローになっているためか、どうにも盛り上がりに欠け、前作にあったようなハラハラドキドキするような展開を期待していると肩透かしを食らうかも知れない。
どこまでも地味な作品。
それが読み終えた時に魅力になっているかどうかは、各人で確認してもらいたい。
せっかく第一作目から読み始めたのだから、出来れば時系列順に呼んでみたいのだが、「紐と十字架」が出版されたのが2005年の4月、「影と陰」が出たのは次の年の4月。
……三作目の「Tooth and Nail」が翻訳されるのはいつの話やら。
これはもう、原書を買って辞書と格闘しながら読むしかないんかなぁ;
著作=イアン ランキン(Ian Rankin)
翻訳=延原 泰子